よしなしごと

日常と想像のおはなし

帰宅途中の事でした。 突然血だらけの鳩が現れて ヨロヨロとこちらに寄って来たのです。 片方の羽は閉じられなくなり半開きの状態で 足の指が何本かなくなり 身体もボロボロで バランスを取るのがやっとな状態の鳩でした。 最初、何が起こっているのか把握出来なくて ただ こちらへ来る鳩に驚いていたのですが 上空で鳴いている複数のカラスの声で なんとなく状況が理解出来ました。 この鳩は逃げ場を失って 私の所へ助けを求めて来たのではないかと思ったのです。 それで 降りて来ようとするカラスを カバンを振り回して 追い払い、鳩を両手で抱えて 帰宅しました。 その間もずっと カラスが上空から 見ていましたが 助けを求めて来た小さな命を 見捨てて帰ったら後悔する気がして とっさの判断で行動していました。 帰宅してから どうしたら良いかわからなくて 段ボールを空けて その中に入れ、動物病院を探し 鳩を診てくれる病院を探しました。5件目の電話で やっと鳩を診れくれる先生を見つけ 早速行こうとした時 箱の中の鳩が動かない事に気が付きました。 鳩は 帰宅してスグに死んだ様で 触れると 既に冷たく硬くなりかけていました。 病院に再度 報告の連絡をして 保健所にも電話を入れて 翌日引き取りに来るまでの短い付き合いなのに 何だか落ち込んでしまいました。 カラスのご飯を取り上げておいて、助けを求めて来た小さな命を助ける事が出来なかった自分は 一体何をやっているのだろうと無力さを痛感しました。 これを読んで下さった方ならどう行動したでしょうか。 カラスにも鳩にも 申し訳ない事をしたと反省すると共に 亡くなった鳩のご冥福を祈りました。